サンタさん

でもたしかあれはクリスマスの朝でなく、終業式かなんかだった。とにかく、学校があって、はるかはもちろんずるをしてはや引きして帰った。ばれるとややこしいので、布団の中で、ハハが子犬と帰ってくるのを息をひそめて待っていた。
　一方、海ちゃんは学校が終わるまで死ぬほど長い一日に耐えて、一度も止まらずに学校からダッシュで走って帰ってきた。一番に帰ってきたつもりが、おねえちゃんとおかあさんできゃぁきゃぁ言っていたものだから、すっごい怒った。いまだに許せないらしい。この件に関しては。
　更に、彼が寝てから、はるかとハハは色の辞典を出してきて、名前を考え始めた。大きな紙に、候補をアホほど書いた。それぞれに深い意味を持たせ、犬らしからぬ名前を次々と。
　翌朝、学校は休みで、海ちゃんは朝から子犬と遊びたがった。それで、はるかとハハで名前決めたよ！と言ったら、本当に怒った。「僕の犬だから」というワケ。それで、「じゃぁなにがいいんだよ？」て聞いたら、「えぇとえぇと」と言って、足元に落ちていた忍玉乱太郎の絵本を見て、主人公3人組の一人、キリ丸を見て「キリ丸に決まってるじゃん。キリ丸って前から決めてたんだ！」と言って、全く譲らなかった。だからうちの犬はキリ丸なんだ。
早く会いたい。

今晩はるかのところにサンタさんは来るだろうか。よい夢を全ての人に。