たんぽぽはるかの日常

39歳で初めて妊娠、40歳で自宅出産、41歳でエンジョイ育児。

感情的にしか見れなかった長崎を客観性を伴って感じる。

まっくらな中、京都の町をタクシーで京都駅まで。
寒い、暗い、眠い。
それらにごまかされて、今から長崎へ行くだなんて、
想像力はそちらには豊かに働きません。

きらめく有明海を見て、初めて思いが募る。
前の同居人のあかちゃんに会いに行くのが楽しみで、
心はずむ。
心おどる。

別の元同居人も同じ時間に来るというから、
「それじゃ、彼女には、はるかが来ることは内緒にしてね。」と
ママになった方の元同居人に伝える。
「驚かせたいからさ」

ところが、長崎に向かえば向かうほど
「はるかも来るよ。」って言いたくて言いたくて・・・

ハイ、言っちゃいました。
はるかだね~。

「だからさ、今度は、彼女(ママになった方)に内緒にしてね。はるかたちが2人そろって来ることを!」と、元同居人に伝えました。


そうこうしているうちに、列車はトンネルを抜け、浦上駅に入り、
私は、2003年の3月の終わりに、ここで大泣きをして、この駅を発ったんだった。と思い出し、また泣く。

大好きな長崎に帰ってきた。やっと。


歩道橋の上に立って、待ち合わせの松山の電停が、
ここからだとどっちの方向だったかが直感的にはわからずに、
それに戸惑い、自分が長くここに居なかったことを実感する。

京都にいる間に思い出す長崎は、
人のこと、できごと、特別なある日・・・などであるけれど、
実際に長崎に立てば、
音があり、においがあり、言葉があり、景色があり、文化がある。
これがリアルだ。

どうでもいいものが目に入るのがいい。
あそこにあったファミリーマート、鍵尻尾の猫、へんな看板、
路面電車の中の宣伝、道路のカーブ、バス停の名前・・・。

松山の電停で同居人に会って、また大げさに2人で泣いて、
驚かすはずだったママには特に驚かれることもなく、
感動の再会を果たし、だんなさんとベビーにはじめましてをして、
短い時間のおしゃべりを楽しんだ。


それから結婚パーティに2人ででかけて、私は2時から22時まで飲んで食べました。
目の前で繰り広げられる、個性のやりとりを見て、あぁこれは懐かしい。
そうそう、思い出しても真に叶わないのは、人の個性ってヤツの絡みだな。と思う。
あいつとあいつが会話すると、こうなるんだった。これを目に焼き付けておこう!
長崎はね、食べものがおいしいよ。本当においしい。


それから、また別の元同居人に連絡をして、
久しぶりの再会。なのに、すぐに元に戻る。
これは一体どういう魔法を使っているんでしょうか。

昼間、長崎の全ての人に愛着を感じて、長崎の町をまるごと好きだと思ったのに、
寝る時になったら、
自分がポツンとしたものに感じた。
怖いって感情が存在してた。
どこにでも闇があるんだったな。

朝方、始発の路面電車の音で目が覚めた。
自分の身体と路面電車の音との間に、とても分厚いものがあって、
こんなに隔たりができていたんだと気付く。
一方で、階段だらけの街だから、人が歩くと、
その振動が自分の身体に伝わる。
これが、思うよりもずっと私の中に踏み込んでくるものだから、
バランスがとれない。

明け方の路面電車の音がこんなに自分より遠くにあって、他人のドキっとするような足音は自分の中に入ってくる。
電車の本数が増える時間になってきて、
だんだん、間にあった厚みが薄くなるの感じ、
足音を遠ざける方法を捉え、バランスがとれてきた。
起き上がれそうだ。

その元同居人とモーニングをして、よく話し、
茶店のマスターに京都から来た。と言ったなら、
紙と鉛筆を出し、地図を描き始めた。

「ここをこう行って、こう行くと、ここに丸山町のある。
ここの定食がうまか。
(中略)
で、ここを曲がると、ここに階段のある。
こいば、あがって行くと、谷になっとる。
この谷に家がへばりつくように建っとる。
こいは、京都では絶対見れんけん。」

なんか、おいしい店か観光スポットを教えてくれるのかと思ったら、
京都にはない、勾配とそこに立つ家の風景だった。


大村の第二の実家に帰り、親戚の方々を長崎空港まで送るのに同行し、
その間ずっとしゃべり通し、帰ってからも、ひたすらしゃべり、
ごはんを作るのもそこそこに、またしゃべる。

朝起きて、またしゃべり、
野菜とお花の畑を見て、これこそホントのお宝山だと思った。

海の見える家、風の吹く家、朝日と夕日を受ける家、
山のてっぺんにある畑と木の家は、私にとっては極楽です。
薪で炊く風呂はどうしてこんなに気持ちいいの?

それから、長崎の第二の実家へ。
耳の聞こえなくなったじゃすみんと再会。
はるかの誕生日を祝ってもらい、
彼氏の写真を持ってこなかったことを残念がられ、
可能な限りの言語化で許してもらい、いつのまにやら、もう18時。

丸々3日間の連休を長崎で存分に楽しみました。
栄養満点。充電完了。また来るよ。寂しくないよ。

私にとって土地って何だろう。

夜中1時のタクシーの運ちゃんは、北九州から京都に嫁いだ人だった。
京都もいいですよ。
そうですね。

比較するって大事よね。