たんぽぽはるかの日常

39歳で初めて妊娠、40歳で自宅出産、41歳でエンジョイ育児。

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私が参加した、デンマークの夏の短期コースは、
気候変動問題に関する内容で、
世界中から集まった人とのワークショップが主で
講義も少し混じりながらの10日間だった。

他にも8つの学校で、気候変動問題の、でも、少しテーマの違うコースが行われていた。

最終日、私たちは、コペンハーゲンの広場で一同に会し、
各校で決めた7つの約束を、さらに共通の7つの約束とし、
この12月にコペンで行われる、COP15の会議に声明を送るというものだった。


私は、私の学校では、日本人が一人で、韓国人も中国人もおらず、ちょっとさみしさもあった。
それに責任もあった。
それと、英語をもう7年位使っていないので、全然しゃべれなくて、かなり参りもした。
あと1週間ほしかった。というのが本音だけど、それでも、これだけ多様性に貢献できたという自負があるのもめずらしい。

8年前にデンマークに行ったときは、日本人、日本文化のアイデンティティが、著しく貧弱だったけど、それを自覚して帰ってきたことが、財産だったと今回思った。


私は、生まれたのがアラブなのに、
アラブの文化を全くと言っていいほど知らない。
今回、生まれて初めて、ほんの少しの知っているアラビア語を披露して、えらく喜ばれた。

ルームメイトがイエメン出身のハナだった。
参加者に、イスラエルパレスチナ、ヨルダン、シリア、レバノン、イエメンからと、アラビア語圏の人が多かった。
ムスリムの人、ユダヤの人がこんなにたくさん、身の回りにいた生活は初めてだった。

ハナの頭に覆っているスカーフを外している状態を見れるのは、私くらいだ。
ハナは、だから、はるかは私の姉妹よ。と言う。

ハナのひとつひとつの行動に質問すると、ハナは、懲りずにひとつひとつ教えてくれた。
「でも、はるかはリビアで生まれたんだから、もっとムスリムのことを知っててもいいわ」とも言った。

ある日、彼女のお祈りの時間は、はるかも瞑想をしようと、した。
終えてから、「何をしてたの?どうなったの?」と、聞かれた。
「気功でいつもしている瞑想だよ。気がめぐって、体が熱くなって、シャキッとしたよ。いい一日のはじまりだ。」と言った。
ら、
「そのめぐるエネルギーを最初のきっかけはどこにあるの?私は、アッラーの名を唱えることで、身体中にめぐるのよ。」
と、言ってた。


フィンランド人のリンダが、美術館で「ここで大きな音をたてて走ってやりたいわ。」と言った。それを思っても絶対やらないわけだけど。
すると、パレスチナ人の誰かが言った。「やればいいよ」「やりたいと思ったことはやりたいときにやるんだ」
それで、なんとリンダはやったの。
すっごい迷惑だった。
リンダは、つまみだされるんじゃないかとビビってたけど、
周りのみんなは、ガッツポーズだった。


みんなが話し合っているとき、講義を受けているとき、おしゃべりしてたり、ボイコットしちゃう人、通行人の妨げになっておしゃべりしてる人に、中東の人が多かった。
しばしば、私は、「シー静かに!聞こえない!」とか
「みんな列に付いてきて!」とか
「他の人のためにスペースを作りましょう!」とか言ったりした。
それで、
もうやんなっちゃう。なんてモラルがないの!と、
イライラしたりもした。
でも、
彼らは、いつも大声で笑い、しかも、しばしば笑い、
よく踊り、よく歌った。
そして、過去を過去のこととして扱うのがうまかった。

はるかが落ち込んでいると「はるか、それは3分も前のことでしょ。それは過去です。忘れなさい。」と言う。
決して前を見ているわけではない。
その証拠に、未来のことなんてわからない。という様子。
たった今、そこ。を生きるとは、このようなことか。と何度も目の当たりにした。

パレスチナイスラエルなど、紛争地域から来た人たちのことを、私はこれっぽちもわかっていない。
これまで、いろいろな講演に行ったり、本を買ったり、映像を見たりしてきたけれど、何もわかってない。
左右に、パレスチナ人とイスラエル人が居たときの迫力というか、何か強い何かをすごく感じた。
私は、まるでテニスコートに立ったように、言葉というボールを追って、頭を右に向けたり左に向けたりしていた。
後で気づいたことは、それは対話だったってこと。
ボールは一個だった。一人が話す間、一人は聞いていた。
何度か「haruka! LISTEN!」と言って、日本人が到底知りもしないだろう状況や状態、説明してくれた。
その対話、最後まで持ち続けるのが、テニスのネットとしての、私の役割だと思った。
最後に、私は、オイオイ泣いた。部屋に帰ってからも声をあげて泣いた。
「何泣いてるの?私たちの涙が一滴も出ないっていうのに。これがライフよ。私たち、今、衝突してないわよ?もう~」と、アヤは言った。
近くにいたロニは、私の一番詰まっているところをさすってくれた。人が何かをこらえているとき、どこが一番詰まっているかを知っているんだな。と思った。